2013年8月23日金曜日

代替飛行場について

代替飛行場には、離陸時の代替飛行と目的地の代替飛行場がある。 どちらも計器飛行方式において必要となる。 計器飛行方式とはその飛行を計器に依存して行う飛行である。 そのため、天候が悪くても(前がよく見えなくても)飛行することが可能である。 離陸時の代替飛行は離陸直後にエンジン等が故障した場合に着陸可能な 出発飛行場以外の飛行場である。 つまり、単発機(エンジンが1つしかない飛行機)は離陸直後に他の飛行場 に行く余裕などないので離陸した飛行場に戻るしかない。 そのため単発機は離陸の代替飛行場を設定することが出来ない。 ということは、離陸の最低気象条件は適用されず、その飛行場の計器進入方式 で着陸可能な気象状態でないと離陸することは出来ない。 それとは反対に、多発機(エンジンが2つ以上搭載)は離陸直後に1つのエンジンが 故障してもある程度は飛行を継続できるので、最寄りの飛行場に着陸すればよい。 つまり、多発機は出発飛行場に引き返す前提はないので、離陸の最低気象条件 が適用される。 雲の高さが0mで前方の見通し距離が500m程度でも離陸が 可能となる。(その飛行場ごとに決められている。) 実際にこの天気は非常に悪いのだが、ただ離陸してしまえばよいので問題ない。 目的地の代替飛行場は目的地に着陸できなかった場合に代わりに着陸する飛行場 である。燃料さえ積んでいればどの範囲に設定しても良い。

離陸の最低気象条件 単発機

計器飛行方式で単発機が離陸する場合、離陸の最低気象条件 は進入方式の最低気象条件を換算する必要がある。 離陸の最低気象条件は雲高とRVR又はVISからなる。 着陸の最低気象条件は決心(最低降下)高度とRVR/CMV からなる。 つまり、決心(最低降下)高度を雲高に換算しなければならない。 高度を高さに計算する。 高度は平均海面からの高さである。 高さは地表からの高さである。 つまり、高度から地表の高さをマイナスすれば、高さ(雲高)が算出される。 精密進入の最低気象条件では、決心高度が用いられている。 決心高度は滑走路進入端からの高さである。 非精密進入の最低気象条件は最低降下高度が用いられている。 最低降下高度は飛行場標高からの高さである。 雲高を算出するためには決心高度から滑走路末端標高をマイナスするか、 最低降下高度から飛行場標高をマイナスすればよい。 両方あるなら精度の高い進入方式で計算すればよい。 さらに雲高は100フィート単位であるので、100フィート単位に切り上げる。 これで換算終了です。 これは AVBL LANDING MINIMA のところで必要になります。

模擬計器進入・出発

模擬計器進入と出発はターミナルレーダー飛行場かただのIFR飛行場かで 大きく違いがある。 ターミナルレーダー飛行場では模擬計器の許可はレーダー管制官が行う。 ターミナルレーダー飛行場ではレーダー管制官がその許可を与える。 ただのIFR飛行場では管制塔がその許可を与える。 使われる用語も違う。 ターミナル飛行場では Cleared fo simulated ooo aproach, maintain VMC... ターミナル飛行場でなければ Simulated ooo approach approved , maintain VMC... という具合に違いがあります。 管制間隔も垂直間隔がIFRでは1000フィートであるのに対し 模擬計器では500フィートです。 出発機でも Cleared to (fix) via simulated (SID name) , maintain VMC... と Simulated (SID name) approved , maintain VMC... という具合に違います。 これは伝達するのは管制塔ですが、許可権者が管制塔か レーダー(進入管制所)かという違いがあります。 Cleared...と頭につく場合はレーダーなどからの管制承認です。 管制塔はクリアランス(管制承認)を中継することになります。 Simulated...と頭につくときは管制塔が許可する場合です。

離陸最低気象条件未満の場合の措置

離陸の最低気象条件未満の場合、「管制側から離陸許可は発出できません」 ということは出来なくなりました。これは管制方式基準が改正されたからです。 しかし、最低気象条件未満の場合にパイロットが「離陸する」と言われたときに、 実際なんと言えばよいか不明確でもあります。手順も不明確です。 Cleared for take-off.だけでは不十分でないかと思います。 なぜなら、RVRはパイロットが滑走路上で判断するので、管制側は 本当に本人が離陸できるだけの距離が見えているかは分からないからです。 パイロットの判断で離陸できるのであれば、手順を具体化する必要があると思います。 例えば、管制側から Request pirot RVR. と聞いて、パイロットにRVRを言わせるとか、 パイロットが I decided above weather minimam RVR ooo meters ready. というように、観測値のRVRよりもパイロットがそのとき見えた距離が条件を満たしている 旨伝える手順を踏まなければ、管制側は簡単に離陸許可を与えることはできないと思います。 なぜなら、離陸の最低気象条件を知らないパイロットが離陸したいと言ってるかもしれない からです。 確かに、地上走行させるときに、気象状態や使用滑走路、風、気圧などを伝えるのですが、 それで離陸できないと判断できないパイロットがいる可能性があるからです。 仮にパイロットが離陸準備完了を通報してきて、そのときの観測値が条件を満たしていない ことを分からないパイロットをそのまま離陸させて、なにかトラブルがあった場合に 管制側とパイロットとどちらが責任をとるのかあいまいだと思うのです。 かなり重要な指示になるので、これについては新たに方式基準に明記するべきではないかと 思います。 RVR 滑走路の中心線上に位置する航空機からパイロットが滑走路標識又は滑走路灯若しくは滑走路中心線灯を視認できる距離をいう。なお、同一滑走路において複数の地点で観測されている場合は次の通りである。 ・・・以下省略。 RVRは飛行場通報式で観測されるので複数の地点で観測されている場合はという表現になっている訳ですが、ここでは飛行場で計測された計測値のRVRとパイロットが滑走路上で目で見たRVRがごちゃ混ぜになっています。 これは、計測値のRVRとパイロットの目で見たRVRを明確に分けるべきだと思います。 それであれば、「RVRが条件を満たしていなくても、パイロットRVRが条件を満たしていれば、 離陸許可を発出できる。」と明記してしまえば誰も悩まないのです。

SYDについて

SYDとは、計器飛行方式で飛行する到着機がある場合に出発機に対して発出される管制承認につけられる条件的なものです。簡単にいうと、管制官が到着機を視認したら出発機を離陸させて良いということです。ここまでは方式基準を読んで理解できると思います。 SYDとは計器飛行方式において到着機と出発機がある場合に、飛行場管制所に目視間隔を設定させて管制間隔を設定させる方法です。飛行場管制所が到着機を視認すると、出発機は飛行場管制所の判断で離陸させることができます。 では、具体的にどうすればよいかというと、 到着機と出発機をどちらを先にされるかどうかは、そこの管制区を持っている管制区管制所等が決定します。SYDは管制区管制所が行う進入管制(ノンレーダー管制)でよく行われます。 進入フィックス(VOR、NDB等)に到着しようとする到着機があり、出発機も同時刻位に離陸しそうな場合、管制区管制所は出発機を先にするか、到着機を先にするかの判断をしなければなりません。 進入機にアプローチの許可を出して、やみくもに出発機をリリースすることは絶対にないのです。それを少しでも効率よくする一つの手段がSYDなのです。 仮に、出発機を先に離陸させた場合、出発機が管制区管制所とコンタクトしてアプローチの保護区域から出るまでの間、到着機は進入フィックス上空で待機しなければなりません。航空機によりますが、10分弱上空待機になる場合があります。 到着機を先にした場合、出発機は地上待機になります。そして、到着機がTWRから視認され、間違いなく着陸されると判断でき、かつ、出発機が離陸するだけの時間がある場合。到着機はランディングアシュアとし、出発機を離陸させることができます。天気が良ければ到着機は途中でほとんどIFRをキャンセルします。燃料代がもったいないので。悪すぎると、飛行場管制所(TWR)が見える頃には、とても出発機を離陸させる時間がなくなってしまします。 すなわち、天気が良すぎでも、悪すぎでも実行されにくい方法です。 管制区管制所は飛行場管制所に出発機があとどれくらいで離陸できそうか聞いてきます。それで到着機との時間がかぶりそうなら、SYDができる状況(天気)かどうかを確認し、TWRが問題ないと伝えると、ACCはSYDをつけてリリースします。 ACC 「JA4321はあとどれくらいで離陸できそうですか?」 TWR 「まだ7分位はかかりそうです。」 ACC 「到着機方向の視程は良いですか?SYDできそうですか?」 TWR 「問題ないです。」 ACC 「了解しました。ではJA4321はSYDにします。」 通報例 JA4321 RLS SYD with JAOOOO ACCには到着機のランディングアシュアの時刻と出発機の離陸時刻を通報しなければなりません。ランディングアシュアを通報したら、着陸時刻の通報は必要ありません。 これが上手く成立すると、進入機は待機することなく、出発機は到着機の着陸を待つことなく若干の待機で離陸することができます。慣れた飛行場管制所は自らSYDをACC示唆することもあります。

コンタクトアプローチについて

コンタクトアプローチとは基本的にターミナル管制所では行われません。やるときはレーダーが使用不能の場合でしょう。 IFR飛行場で管制区を持っていない飛行場でよく行われます。 定義では 「レーダー管制下にないIFR機が行う進入の方法であって、計器飛行方式の全部又は一部を所定の方法によらないで、飛行場を視認しながら行う進入をいう。」 到着機から要求があった場合で地上視程1500メートル以上で交通状況を考慮して許可することができる。 とあります。 「レーダー管制下にないIFR機」というのは、進入管制がノンレーダー管制で行われていることを指します。 「計器飛行方式の全部又は一部を所定の方法によらないで」というのは、進入フィックス上空(オーバーステーション)から着陸するまでのどこからでも航空機は要求し、管制所は許可できるということです。オーバーステーションから許可しても良いし、ベースターン手前でも航空機はどこからでも要求できます。 OOOOTWR JAOOOO WE HAVE APCH CLEARANCE REQ CONTACT APCH. JAOOOO OOOOTWR REPORT OVER STASION.

目視間隔について

方式基準では、目視間隔とは、 「航空機と航空機の接触又は衝突を防止し、かつ、航空交通の秩序ある流れを維持するため、管制官が関係航空機を視認することにより、又は航空機が他の航空機を視認することにより確保すべき最小の空間をいう。」 とあります。 簡単に言うと、管制官が関係航空機を見えているか、航空機が他の航空機を見えているか、どちらかを満足すると目視間隔は設定されているとみなす。という感じに思えますが、そうではないと思います。 ※ 飛行場管制の場合 ・「管制官が関係航空機を視認することにより」の場合 管制官は航空機に接近する航空機があれば、まず当該機に交通情報を提供する。関係航空機から他の航空機の視認通報がとれなくても、両機を管制官が視認し、接近しそうなときは待機や方向を変えるなどして接近を回避させる技量があれば、そこには目視間隔があります。 両機を管制官が見えていても、いざというときに対処できなければそこに目視間隔はありません。 ・「航空機が他の航空機を視認することにより」の場合 この場合、管制官は関係航空機が見えている必要はありません。どちらかの航空機に交通情報を出して、どちらかの航空機が関係航空機を視認させればよいのです。しかし、交通情報は、「何がどこにいて(高度も)どっちに動いている」ことを伝えなければうまくないでしょう。 ことに飛行場管制では全ての航空機を視認しながら管制することはまずできません。10機が別々の方向から進入してきたら近い方から順番に探すでしょうし、出発機がいれば、地上も見なければなりません。 ここで技量に大きく差が出るのが「記憶力」です。はっきり言って記憶力が良ければ管制は上手くなりやすいでしょう。あとは「イメージ脳」です。つまり、航空機のコールサインや航空機の位置、高度、どこに向かっているかなどを航空機の数だけ覚えて立体的にイメージして管制は行われているといって過言ではないでしょう。 この中で、適宜目視間隔を設定しながら管制されています。